みなさんは、「バイリンガル」と聞くと、どんなことを思い浮かべますか?
私は、「バイリンガル=2か国語を巧みに操れる人」というイメージを持っています。
さらに、ここ最近では、バイリンガルであることによる影響についての研究が進んでいて、
認知面・言語面での特徴が、明らかになってきたようなんです。
本日は、そちらをご紹介したいと思います。
まず、認知面においては、
バイリンガルはモノリンガル(一言語のみ使用する人)と比べると、
遂行機能(executive function)が優れている
という研究結果が出ているようです。
遂行機能とは、「目的を遂行するために、目標設定と実行計画を考案し、遂行する能力」のことです。
思い返してみれば、学生時代、優秀だなぁと思った友人にはバイリンガルが多かったです。
私は法学系大学院で学んだ経験があるのですが、成績優秀者の中で、トップクラスの友人の
中には、バイリンガルがたくさん居ました。
当時は、「バイリンガル」と「法律の学習」、この2つにどうような相関関係があるのかは
分かりませんでしたが、今は少し、分かるような気がします。
この2つの概念に共通するのは「言語」である、ということです。
法律も、言ってしまえば特殊な言語。
ある法律用語には、判例で定められた定義があり、
それに問題となる事案があてはまるかどうかを検討する、というのが法律学習の要です。
バイリンガルとして、言語の習得経験が豊富でコツを習得している分、
その他の言語や専門用語を習得するのも、比較的得意とする傾向があるのだと思います。
話が逸れてしまいましたが、話しを戻しますね。
その他の研究では、バイリンガル環境で育つ子どもは、
モノリンガル環境の子どもに比べて、コミュニケーション能力が高い
という結果が出ています。
将来に向かって努力することができて、周りの人とのコミュニケーションも円滑に取ること
ができる―――バイリンガルであることで、こうした能力が高まることは、とても好ましいことだなぁと思います。
一方で、言語面においては、Barac & Bialystokの研究によると、
バイリンガルであることが言語や知能に悪い影響を与えることはないものの、
文法や語彙の発達はモノリンガルの子どもに比べて遅いということがわかっています。
語彙に関しては使う単語を選ぶのに時間がかかる、あるいは単語を思いつくのが遅いという
結果が出ているようです。
これは一見バイリンガルの弊害にも思われるかもしれませんが、
要は、常に二言語に注意を向けていることからくる傾向のようなもので、
二言語を習得するのだから、習得のスピードはゆっくりになるのだと思います。
そして、「単語を思いつくのが遅い」というのは、
2言語の中から慎重に、表現したい内容に沿う言葉を選んでいる、
と考えることもできます。
いずれにしても、これらのバイリンガルの認知面と言語面の特徴から、バイリンガルは
「常に複数のこと、先のことに注意を向けている傾向がある」ということが分かりますね。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
Susie
出典:『子どもの未来を広げる「おやこえいご」』 小田せつこ
p.40~43
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